新たなる命を得た、築150年越えの古民家
〜移築と再生の物語〜

江戸時代末期に建てられた築150年を越える豪農の邸宅を新潟県十日町から解体し、大磯へ移築。そして、新たに築造した鉄筋コンクリートの地下室の上に再構築。こうして大磯の山裾へと居を移した古民家は、新たなる命を得て、会員制の割烹料亭「大磯倶楽部・旬庵*」へと生まれ変わり、大磯の地でさらなる年輪を刻んでいます。

床に敷かれた大谷石が明かり取りから注ぐ光を受け、存在感のある欅の一尺角柱や二尺もある大梁と共に風格のあるエントランスに表情を与えています。重厚感のある木部は、総漆(うるし)塗り仕上げ。館内には、特注の織物カーペットが敷き詰められ、緋色の地に波を模した紋様が青く光る大磯の海を彷彿とさせ、訪れる人を歓迎してくれます。施主様が造る過程を楽しむ為、完成までには2年の月日を要しました。大磯の歴史を遡るとその歴史は古く、1885年(明治18年)に大磯海水浴場が開設され、その後、1887年(明治20年)には、鉄道の開通と大磯駅の開業とが相まって、多くの著名人が別荘を建築するようになりました。大磯は、明治政界の奥座敷として親しまれ、8人(伊藤博文・山県有朋・大隈重信・西園寺公望・寺内正毅・原敬・加藤高明・吉田茂)もの歴代の宰相が別荘や邸宅をこぞって構えたことでも有名です。そんな大磯倶楽部は、第18代内閣総理大臣を務めた寺内正毅の邸宅跡地に構えられ、多くの歴史に育まれた由緒ある土地でもありました。

*:大磯倶楽部・旬庵の営業は、現在は行っておりません。